カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「動かぬ風景・飛ぶ風景・ついてくる風景」~走る電車から見える風景の愉快

 電車に乗って外の景色を見ていると、線路際の景色はビュンビュン後ろに飛んで行くのに対して、真ん中の風景はゆっくりと後ろに進み、遠くの山々などはほとんど動かずにその場にいます

 走る電車から見えるものが、まるで動いていないように見えるとしたら、それは「もの」が電車と同じ速度で同じ方向に走っている場合だけです。東京で京浜東北線と山手線が並んで走る部分がありますがあれと同じ原理で、遠くの山々は列車と同じ速度で同じ方向に走っているのです(!?)。

 もちろんそれは冗談ですが、しかし実際に車窓から昼間の月などを見ていると、「これ(月)、絶対にこの列車のあとを追ってるな」と思うことがしばしばあります。
 さて、遠くの山々と電車が同じ速度で同じ方向に走っているとしたら、その間にある事物はどんどん置き去りにされているはずです。そして実際にそのような場所があります。
 今のような冬の季節、一面の冬景色の中に点々と人家や電柱などがあるところです。その家や電柱が私から300mから400mくらいだとちょうど程よいのですが、遠景と私の間で、家々だけが後ろに進んでいく・・・私の好きな、最も愉快な錯覚のひとつです。