カイト・カフェ

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「止める能力」~衝動性の強い子を鍛える方法を考える

 自閉症という言葉に出会うと、初めての人は、自分を閉ざし、引きこもりのようになって暗く沈む、そんな障害を思い浮かべるようで、実際の自閉の子に出会うとその騒がしさにびっくりしてしまうことも多いようです。

 同じようにADHD注意欠陥多動性障害と聞くと、やたらとキョロキョロしてあちこち動き回る忙しい障害、といった認識を持つようですが、これも半分違っています。もちろん完全な間違とはいえませんが、注意欠陥には二種類あって「注意をしきれずあちこち気が移る注意欠陥」もいれば、「注意そのものがうまくいかず、ボーっとしている注意欠陥」もいます。「あちこち気が散る」と「ボーッ」ですから、印象でいえば両者は正反対ですが、どちらも同じ注意障害です。

 多動性障害については(私はむしろ衝動性障害と呼ぶべきように思うのですが)、実際に忙しく動き回る子もいますが、衝動的に人を殴ってしまうとか、興味あるものがあるとあと先考えず、そこにまっすぐ向かってしまうとかいった衝動性に共通点があります。さらに多動な子も大人になるに従って多動性は薄れていくのに対し、その中にある衝動性はなかなか消せないともいわれ、衝動性こそ多動障害の本質ではないかとうかがわせる点が多々あります。

 さて、「この子は衝動性が高い」と言えば人間の中にあるひとつの能力が突出しているかのようですが、もしかしたらそれは「制御性が弱い」という能力の低さなのかもしれません。私は昨日、ある子どもたちを見て、ふとそのように思いました。

  指示に従えない、 耳は聞いているのに体は「やってはいけない」ことをしてしまう。 そもそも教師の話にサッと気持ちが向かない。 頭と体の間にちょっとした不連続な部分があって、思うことが体にうまく伝わっていかない、 心は止めているのに体は止まっていかない、
 そんな印象を持たせる子たちです。

  この子たちに必要なのは百万遍のお説教ではなく、旗上げゲームのように「赤あげて、白あげないで、赤おろす。白あげない・・・」といったふうに激しくONとOFFを繰り返す機能訓練なのではないかと思ったりもします。
 これは冗談や皮肉ではなく、まじめな話です。
 止める能力に問題があるのです。