カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「忘れられた女」~それが最悪の状況という、卓越した認識

 松任谷由美という人はやはり天才なんだろうな、と思うことがしばしばあります。それは例えば、
「私を許さないで 憎んでも覚えてて」(「青春のリグレット」)
といった歌詞からも伺えます。
 憎まれても忘れられるよりはいい
 その言い方はマリー・ローランサンの『鎮静剤』という詩にも見られます。

鎮 静 剤       マリー・ローランサン
退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です。
悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。
不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。
病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。
捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。
よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です。
追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。
死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。

 忘れられることは、最低なのです。
 ですから、私たちが常に誰かに与えていなければならないメッセージは、「愛しているよ」とか「君が大切だよ」といったたいそうなことではなく、
「キミを見ているよ」
「いつでもキミのことを気にしているよ」
と、そういったことなのかもしれません。