長く教員をやっていると、これだけはうまくできるとか、これだけは誰にも負けないといったいくつかの分野が自然と生まれてくるものです。私の場合そのひとつは歯科指導です。私のクラスは虫歯の少なさでも治療成績でも、たいていはいつも一番でした。
むし歯を減らすには、生徒をむし歯にしなければいいのです。そのためにはまず動機づけが必要です。
虫歯になると・・・・
- とにかく痛い。だから夜眠れない。
- 物がおいしく食べられない。
- ものがしっかり噛めないので消化に悪い。したがって十分栄養が摂れない。
- 歯並びが悪くなる。
- 大人まで放っておくと全部抜けてしまうことがある。
- と、このあたりまでは常識的な線です。
- そして子どもは、この程度のことでは強く心を動かされません。そこで極めつけの二言。
- 顔がゆがむ。
- 息がとんでもなく臭くなる。
(♪初めて~のチュウ・・・オエッ!なんてヤでしょ?)
この「顔がゆがむ」と「♪初めて~のチュウが、オエッ!」という説明はかなり刺激的らしく、たいていの子どもがここで目つきが変わります。
さらにダメを押したいなら、ポケットマネーで買っておいた隙間歯ブラシを全員に渡し、その場で丁寧に磨かせて匂いをかがせればそれでおしまい。
「むし歯の臭さははね、その10倍くらいすごいんだ・・・」
その日の歯ブラシは普段の3倍くらい時間をかけてやったりします。
ただし、分かっていてもなかなか続かないのが子ども(いや、それが人間)。実際に毎日歯みがきをさせたり、むし歯の治療に行かせるには別の方法が必要です。
それについてはまた別にお話しましょう。