ケータイという魔器から子どもを守るにはこれしかないだろう

 結局、いろいろ約束させてからでないとやらせられないものは、ケンカをしてでも与えないのが一番、と私は思います。

 TVゲームだって「一日1時間だの」「宿題をやってから」だの、あれこれ約束したって結局約束というものは守らせる方がシンドイに決まっています。ゲーム機を買う前は「買ってくれ」「買わない」で長期戦争をしてきたわけですが、買ったところで「時間制限戦争」だの「宿題優先戦争」だの「ソフト買ってくれ戦争」だのをしなければならないわけで、だったら以前の「ゲーム機買ってくれ戦争」を続けていた時の方がよほど平和だったはずです。

 同じように「ケータイ買ってくれ戦争」に明け暮れている親子はそのまま「買ってくれ戦争」を続けていた方が、絶対幸せなのだと・・・どうしてそこのところに気づかないのでしょう? うっかり買ってしまえば平和なのはわずか1〜2週間。その後来るのは「通話料減らせ戦争」「変なところにつなげるな戦争」「学校に持って行くな戦争」「食事中くらいケータイから手を離せ戦争」・・・と同時多発テロみたいになってしまうのがオチじゃないですか。おまけに金は出て行く、時間は無駄遣いされる、(授業中の使用で)担任からは呼び出される、成績は下がる、友人関係は見えなくなる、で踏んだり蹴ったりです。

「だってケータイもっていないと友だちいなくなっちゃうモン」と言われたら、「いなくてけっこう。ケータイ・サイトの掲示板でお前がいじめられるよりはるかにいい」と言い、「だって○○ちゃんも、△△ちゃんも持っている」と言われたら、「でも○○ちゃんや△△ちゃんは、私のような母親(父親)を持ってないでしょ?」と、なんだか分からないような理屈で一蹴し、とにかくせめて高校に入るくらいまでは買わずにがんばる。

 今の時代、ケータイを持っていたほうが子どもの安全というのはとんでもない誤解で、ケータイを持っていたから助かったと言う話はほとんどないのに、ケータイを通じて知りあった相手とのトラブルといった話は枚挙に暇がない。三年前の奈良幼女誘拐殺人事件の被害者だってGPSつきの携帯電話を持っていたにもかかわらず、何の役にも立たなかった。そればかりか、逆に悪用されて遺体の写真まで送りつけられてしまったではないか。

 ケータイのアドレス帳に20人のアドレスがあるとして、チェーンメールのように20人が20人に送り続けると、最初の1回で20人、二回目で400人(20×20)、三回目が8000人、四回目16万人、五回目320万人、六回目で6400万人、7回目には12億8000万人で日本の人口の10倍を超えてしまう。そして8回目で256億人。地球上にはそんなにたくさんの人はいない。つまり、携帯電話の7台向こうには全日本人がいて、8台先には全人類がいる。ヤクザもいれば極悪人もいる、異常性格者だって殺人鬼だっている。こんなものを唯々諾々と渡していいはずがない。

それでも、どうしても携帯を買ってあげたいと思う親は、仕方がないから学割も効かないけど、自分名義のケータイを買って子どもに渡してやることだ。自分名義なら必要に応じて利用明細を請求して通信相手を確認したり、さらに必要なら契約そのもを変更してしまうことだってできるのだから。

・・・しかし、そんなことはやはりしないに越したことはない。