カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「音楽を行うということ」~学校の音楽の授業はセラピー的である

 行動主義心理学ゲシュタルト心理学認知心理学等々、心理学にはさまざまな分類のしかたがありますが、私たちに最もなじみの深いのは、脳や心(どう違うんだ?)に問題を抱える人を直接援助しようという臨床心理学です。

 臨床心理学は時に経験の学問と呼ばれることがあります。例えばアニマル・セラピーは、なぜ動物とのふれあいが老人性痴呆に効果があるのか、誰も説明できないのにうまく行くからやってみる、そういう側面を持っているのです。「何故そうなるか分からないけど、そうなるからそうなる」というのではまったく科学的ではありませんが、科学的な説明がつくまで待っていたのでは今生きる老人を救えませんから、とにかくゴーです。

 さて、同様の効果は絵画でも音楽でも確認されています。
 そこでは絵画療法やら音楽療法などが行われるのですが、なぜそれが心にいいのかはやはり分かっていません。ただし、絵や音楽の効果というものについては、心理学者が言い出すよりはるか以前から了解されていました。学校はその意味でとても先駆的でした。

 学校では体育と音楽に特別の地位が与えられていて、運動会と音楽会はその中でも最大のものです。社会科大会や国語大会がないのに運動会が行われるのは、教科としての体育ではなく知育・徳育・体育のうちのひとつとしてですし、音楽が特別扱いされるのもそれが知・徳・体の「徳」に関わるからです。

 音楽をするということは深く情操とかかわることであり、それは「癒し」であるとともに「協力」とか「忍耐」とか「セルフコントロール」とか、さまざまな徳育と強く繋がっていること、それを意識しないとわざわざ音楽会を行う意味がなくなってしまいます。この時期、私も本当に担任の先生たちがうらやましくなります。