「先生たちは、なぜイジメが悪いこととだと教えないんですか?」
10年近く前、保護者にそう問われて面食らったことがあります。「イジメが悪い」なんてこと、教えないわけないじゃないか、と思ったのです。で、つらつら考えてみるとこの保護者、たぶん以下のような思考を経て、そいう結論に達したのだと分かりました。
①子どもたちは先生のいうことは何でも聞く。
+
②にも関わらず、イジメはなくならない。
||
③つまり先生たちが教えていないからだ。
その保護者に何と答えたか忘れてしまいましたが、後から考えるとこんなふうに言っておけばよかったと後悔しています。
「私たちは算数をはじめいろいろなことを、子どもたち皆に同じように教えています。でも理解の早い子・遅い子、技能が定着しやすい子・しにくい子、いろいろいます。何度教えてもうまく行かない子もいます。『イジメがいけない』ということはいろいろな方法で繰り返し教えていますが、なかなか定着しない、そういう子もいます。頭で分かっていてもなかなかできない、そういう子もいます。頭で分かっていてもなかなかできないのは、逆上がりのしかたが分かっていてもできないのと同じです。私たちもがんばっているんですよ」
さて、世間には教師に対するアッと驚くような誤解や疑問が山ほどあります。例えば、
「先生たちは子どもの出すサインをなぜ見ぬけないのか」
「先生たちはおしゃべりする子をなぜ止められないのか」
「忙しい忙しいというけど、先生たちは子どもたちを帰したあと、何をやって忙しがっているのか」
「あれほど言われているのに、なぜ通知票を家に持ちかえって、しばしば盗まれるのか」
「やればクビになると分かっていながら、なぜ先生は体罰をしたりするのか」
etc etc
昨日出会った驚くべき疑問は、
「先生たちは、なぜ、下校時の子どもの行動に無知なのか。どの子が誰と家に帰るのか、どこから一人になるのかといったことを、なぜ知らないのか」
というものです。
以上。
フ~。