カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「自分が他人の役に立っている、確かな繋がりを持っていると完信じられる時間」~組体操の練習を見ながら思ったこと。

 一人で自由にのびのびと生きることは人生の喜びです。しかしそれとはまったく対極的なところにも人間の本源的な喜びがある、そんなことを思いました。それは集団の中の一齣、全体の中の1パーツとなって仲間を支える、という喜びです。
 例えば5段のピラミッドに参加する15人は、どの一人をとっても不可欠な一人です。そのことを15人全員がひしひしと感じています。
 段の一番下の5人は小石の膝に食い込む痛みと全体の重さに耐えながら、必死で10人の体重を支えます。その5人の中にあってもそれぞれ役割が異なり、両端の2人の主な仕事は、横に広がろうとする動きを押さえることです。ですから力の大部分は横方向に働かせます。その内側の二人は、上からの圧力にも耐えていかなければなりません。中央の一人は、横への配慮はしなくて済みますが、15人の中で最も重いものを支えている人間です。

 力という点で、中段の9人はずっと楽です。しかし揺れる土台の上で、下と上のバランスを取りながら神経質な戦いを延々と続けなければなりません。

 一番上の子は・・・もっとも目立つところに上がるその子は、時間と恐怖心の両方との戦いに短い時間を費やしています。自分が上がれなければ下の14人の苦痛をすべて無駄にしてしまいますから、その緊張は並ではないでしょう。
 全員がひとつのことを考えています。15人全員ががんばっていると信頼できるから自分もがんばろうとできます。ほかのことを考えたり、いい加減な気持ちでやっていないことを、全員が了解しあい、がんばろうとしているのです。そんな瞬間を、私たちは生涯、何回持つことができるでしょう?
 自分が他人の役に立っている、確かな繋がりを持っていると完全に信じられる時間です。一人技の時間でさえ、一人の失敗は全体の美に響いてくるのですから。
 さて、今日が終わると3連休です。運動会の総括を今日行っておくのと3日後に行うのとでは意味が異なります。一言でいいので、今日の内に子どもたちの成し遂げたことの意味を、ぜひ伝えておいてください。

 他の競技もみな同じです。