「Stand By Me」

 

 アメリカのホラー小説の大家、スティーブン・キングには『スタンド・バイ・ミー』というきわめて優れた自伝的青春小説があります。映画も有名ですからご覧になった先生もいるかもしれませんが、田舎町のちょっとした不良少年グループが、兄の隠したという人間の死体を捜しに小さな旅に出るという話です。

 その旅の途中、リーダー格のクリスという少年が気弱な小説家志望の少年(キング自身がモデル)に、こう語る場面があります。(クリスは少年の無理解な両親に怒っています。)

 

「ほんと、おれがおまえのおやじならよかったのにな!」

とクリスは腹立たしげに言った。

「もしおれがおまえのおやじだったら、あんな作品をいっぱい作れるなにかを与えてくれた神さまみたいに、こう言ってやるんだ。

”これこそ、わたしたちがおまえに望むことだよ、息子や。その才能を失わないようにしなさい”ってね。

だけど子どもってのは、誰かが見守っててやらないと、なんでも失ってしまうもんだし、 おまえの両親が無関心過ぎて見守っててやれないってのなら、たぶんおれがそうすべきなんだろうな」

 

 その「子どもというものは、誰かが見守っててやらないと、なんでも失ってしまうものだ」という言いかたが非常に印象的で、今も心に残っています。

 

 確かに、もう少し頑張れば、もうちょっと辛抱すれば手に入るものを、子どもは簡単に諦めてしまいます。また、大切なものを簡単に捨ててしまうからこそ子どもは子どもなのだとも言えるでしょう。だからこそ誰かが傍らに立って、常に見張ったり激励したり、あるいは叱ったりしなければならないのだと。

 

 Stand By Meというのは「ボクの傍らに立っていてくれ」といった意味でしょうか? 自分の弱さを知っている人間だけがわかる言葉です。

 私は高学年以上の児童にはいつも、

「自分にうるさく言って叱ってくれる人をいつも大切にし、そばにおいて置きなさい。叱ってくれる人はいつもキミのことを考えてくれる人なんだからね。どうでもいいと思ったら絶対に叱ったりしない、人を叱るなんて、面倒だし気分も良くないから。叱ってくれる人を遠ざけたり黙らせてしまったら、キミがダメになりそうなとき、誰もキミを助けてくれない」

と、そんな話をしていました。