芸術

「都会で育つこと、都会で子育てできることが、今更ながら羨ましい」~ゴッホを見てきた

ひょんなことから上野の森美術館の「ゴッホ展」に行ってきた。 ゴッホは何度も見てきたが、行けばやはりそれなりの学びはある。 それにしても、都会の子の、都会で子育てができる親の なんと羨ましいことか。 という話。 (上野の森美術館「ゴッホ展」) 【…

「マネ『フォリー・ベルジェールのバー』の不快と愉しみ」 

東京都美術館にマネを観に行ってきた。 以前から気になっていた「フォリー・ベルジェールのバー」に会うためだ。 今はデジタル画像がいくらでも手に入る時代だが、 実物を観て初めて分かることも多い。 という話。 (マネ「フォリー・ベルジェールのバー」)…

「『永訣の朝』と宮沢賢治三昧」~記念館と童話村

宮沢賢治と聞くと まず胸が苦しくなる 「決別の朝」に関する苦い思い出があるからだ そのことを思い出しながら 「宮沢賢治記念館」と「宮沢賢治童話村」を回った というお話。 (「宮沢賢治記念館」玄関にて) 【「永訣の朝」のこと】 宮沢賢治については手…

「『芸術の価値の分からない人間』の芸術的価値について」

国立西洋美術館に「松方コレクション展」を観に行ってきた そこで自分がいかに芸術の分からない人間か痛感してきた しかしそんな私でも 役立っていることがあるに違いない というお話。 【国立西洋美術館「松方コレクション展」に滑り込む】 国立西洋美術館…

「今日はドレミの誕生日」~ドラミちゃんの話じゃないよ

今日は音階「ドレミ」の誕生日 そこでドレミのウンチクと その周辺について語ろう というお話。 (ローレンス・アルマ=タデマ 「サッポーとアルカイオス」) 【ドレミの誕生日】 今日、6月23日は「ドレミの誕生日」だそうです。 「今日は何の日?? カレ…

「都市の盛衰と文化」~二つのクリムト展を観てきた 3

クリムトの生涯は ウィーンの再開発とともにあった ウィーンの興隆がモダニズムを支えた そしてウィーンが終わるとき ウィーンモダンもクリムトも エゴン・シーレも終わってしまった というお話。 (グスタフ・クリムト「ベートーヴェン・フリーズ」《左側》…

「国立新美術館のクリムト」~二つのクリムト展を観てきた 2

国立新美術館の「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」は クリムトが時代と社会からどういう要請を受けて生まれてきたかを提示する そこには悲劇の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が生み出した新生ウィーンの たくましく発展する姿が重なる という…

「シェイクスピアはなぜ偉いのか」~明日は誕生日・命日

シェイクスピアが現代の若者にとってどういう存在か そのあたりはよくわからないが 絶対に勉強しておくべきだ 特に英語を学ぶなら シェイクスピアは必須 なにしろシェイクスピアは偉いのだから という話。 ジョン・エヴァレット・ミレー 「オフィーリア」 (…

「マリーの馬」~詩を書くときの心得

世間では3連休の方も少なくないこの三日間、 たまたま小春日和のような暖かな日が続いたので果樹の剪定に働きづめでした。 一心不乱に何も考えず働いたので月曜日(成人の日)の夕方、「明日のブログに何を書こうか」と考えてハタと困ってしまいまいました…

「千一夜」~シェヘラザードの音楽と映画たち

(マティス『千一夜物語』) 今日で退職後のブログも1001日目です。 【憧れのイスラム世界】 イスラムという言葉を聞くと、人は何を連想するのでしょう? 現代でしたらさしずめ「過激派」だとか「IS」だとか「テロ」といった流れ、あるいは「特別な食習慣…

「和歌山のドンファンからモーツアルトのドンジョバンニへ」〜気ままに調べることの面白さ

オノレ・フラゴナール「かんぬき(閂)」1778頃 以前にも申し上げましたが、世の中の重要な事件は金曜日に起こることが多いので、翌週はじめの記事はしばしば時期遅れのとぼけたものになりがちです。 そうは言ってもしかたないので、2〜3日、そうした時期…

「生頼範義という生き方」〜展覧会場で思い出したこと

【生頼範頼を知っていますか】 イラストレーターの生頼範義についてどれほどの人が記憶に留めているか、いまでもものすごく有名な人なのか、知る人ぞ知る伝説の人なのか、ちょと想像のつかないところです。 しかし知らない人のために説明すると、彼は「スタ…

「美の共振」〜展覧会をはしごしてきた4

日曜日(19日)に行った国立西洋美術館の「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」と東京国立博物館の特別展「運慶」について書いています。 続いて北斎。 【ジャポニズムとは何か】 ジャポニズムとは何かというと、 「19世紀後半、写真の発明…

「踊る群像(特別展「運慶」)」〜展覧会をはしごしてきた3

国立西洋美術館の「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」と東京国立博物館の特別展「運慶」を観てきました。 北斎を先に、運慶は後から回ったのですが特別展「運慶」の最終日(11月26日《日》)が迫っており、検索か何かでこのブログに来られ…

「日本にあこがれる魂」〜展覧会のハシゴをしてきた2

「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し」と書いたのは荻原朔太郎です(1925年《大正14》刊行「純情小曲集」)。 その40年ほど前、当のフランスに、熱烈に日本に憧れるひとりの画家がいました。 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。オランダから…

「『怖い絵展』の絵が怖くなかった話」〜展覧会のハシゴをしてきた1

先週木曜日(11月9日)、突然のことがあって東京に行ってきました。ところがせっかく泊りがけで行ったのに用件そのものは木曜日中に終わってしまい、そこで丸々空いてしまった金曜日を美術館巡りに当てました。本当は今度の日曜日(19日)に予定していたのを…

「見てきたもの」〜「箱根ラリック美術館」と「彫刻の森美術館」

箱根へ行ってきました。 一日目は箱根ラリック美術館の見学、それから箱根湯本の温泉宿に一泊して、二日目は彫刻の森美術館という簡単な日程です。 【箱根ラリック美術館】 箱根ラリック美術館というのは、アール・ヌーヴォー、アール・デコの時代に生きたフ…

「美しさに気づく目」〜私が果たせなかったこと

ジュゼッペ・アルチンボルドの生きた時代(1526年―1593年)は日本で言えば戦国時代の真っ盛り、織田信長はジュゼッペの7歳ほど年下に当たりますし、その没年である1593年は文禄の役(第一回朝鮮出兵)の終わった年です。 そう考えるとヨーロッパに“人権”の…

「バベル」

〜東京都美術館『ブリューゲル「バベルの塔」展』 東京都美術館にブリューゲルの「バベルの塔」を見に行ってきました。 この絵自体は子どものころから知っていて、当時は画集か何かでドキドキしてみたものですが、大人になってからは印象派以降の絵画に心惹…

「絵画鑑賞の喜び」�B〜ピカソは何をしたのか

三十代も半ばを過ぎてスキーを始めました。 娘が生まれて、いつかこの子にスキーを教え一緒に滑りたい――が表向きの理由ですが、腹の底には別の思いもあったのかもしれません。というのも、あとで気づくとそのしばらく前に映画「私をスキーに連れてって」が大…

「絵画鑑賞の喜び」②〜モネ

三十数年前、私は十年以上住んだ東京を離れ、田舎に帰る決心をしました。それなりに傷ついた帰還でした。 その最後の年は“とにかく遊ぼう、東京を満喫しよう、学校や職場とアパートを往復するだけの生活を見直し、ここでなければできないことをしよう”と頑張…

「絵画鑑賞の喜び」①〜ダリ

東京の国立新美術館に「ダリ展」を見に行ってきました。 今回は娘夫婦と孫、息子、つまり勤務のある妻を除く家族全員が一緒です。 「今回は」と書いたのは10年前、上野の森美術館で開かれた「ダリ回顧展 生誕100周年記念展示会」にも私は行っていて、いたく…

「映画の題名に関するちょとしたウンチク」

先週話題にした10月7日のNHK「歴史ヒストリア(「"日本語"を切り開いた"マンネン"な人びと」)」は今年89歳になった私の母も見ていて、 「日本語を創った人たちがいたのには驚いた」 というような話になりました。 そこで元社会科教師、ウンチクタレの私と…

「ユア・ロープ」

「君の名は。」という題名のアニメ映画が流行っているみたいで公開わずか8日間で観客動員数212万7800人、興行収入27億1200万円を記録したといいます。子どもが小さかったころは別として、基本的にアニメ映画は観に行きませんから今回もこのままやり過ごして…

「どうしてあんなヤツに」

散々迷ったカラヴァッジョ展、先週土曜日に息子のアキュラも誘って行ってきました。 いくら何でも若冲展を上回って混むことはないだろう、2時間待ちくらいなら我慢しようと出かけたのですが、チケット購入に15分並んだだけであとはスイスイ入れました。中…

「カラヴァッジョ!! アラマッチョ!!」

私は非常に先見性に優れ次の時代を見越すことができる、と思っていたら実は最も早く乗せられるひとりだった――その話は以前書きましたが(「先見の迷」 - カイト・カフェ)、今回も同じかもしれません。 今週の土曜日、国立西洋美術館の「カラヴァッジョ展」…

「美しきイタリア」②〜イタリア奇行《最終》

旅行前、かつての教え子の一人に「イタリアはイケメンばかりだそうだからよく見てきて」とか言われましたがほんとうに多い。フィレンツェは街中がタカラヅカみたいです。 息子のアキュラも「生まれたときからこんなに差があるんじゃ話にならない」と絶望しま…

「文化の伝承」

ソチ・オリンピックの開会式の冒頭で、主人公の少女がアルファベットを唱えながらロシアの事物・人物を紹介する場面がありました。たぶんロシア語とフランス語、英語で表記されていたと思うのですが、説明がなかったので半分も分かりませんでした。しかしチ…

「ダ・ビンチ、ラファエロ」

東京に行ったついでに上野で二つの美術展を観てきました。東京都美術館の「レオナルド・ダ・ビンチ展」と国立西洋美術館の「ラファエロ展」です。 ルネサンスの三大巨匠のうちの二人の展覧会が、ほぼ隣り合う美術館で行われるのですから効率の良い鑑賞、とい…

「舟を編む」

ゴールデン・ウィークも早いうちに女房孝行をしておいた方がいいのではないかと思う私と、とんでもなく評判の高い映画が来ているらしいと勘違いした家人の思いが重なって、「舟を編む」という邦画を見てきました。夜8時5分からの回で終了は10時近くにな…