カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

2015-01-01から1年間の記事一覧

「テレビドラマ『コウノドリ』のリアリティと原作マンガの裾野」

昨日はテレビドラマの悪口を書きましたが、もちろんすぐれた作品もあります。「下町ロケット」(私は見ていない)はたいへんな評判ですし、NHKの朝の連ドラ「朝がきた」は視聴率を25%まで上げようとしています(あの時間帯に4軒に1軒の割合で見てい…

「最近、テレビを見すぎている話」

ずっといじめや暴力のことを考えていたらすっかり気が重くなってしまったので、しばらく、目先を変えて書きます。 さて、 妻のかつての教え子で年単位の長期入院をしている女の子がいます。女の子と言ってもも二十歳を過ぎていて、病院生活も4年目になりま…

「加害者はいかにして加害者となっていくのか」③〜マイレジューム

「本人が言ったから」というのは必ずしも真実の保証にはなりません。もちろんウソをつくこともありますが、それ以上に普通の人間にとって自分を正確に語ることは難しいからです。もし世の中の人の半分でも、常に正しく心情や感じたままを表現にできるようだ…

「加害者はいかにして加害者となっていくのか」②〜マイレジューム

「川崎市中1男子生徒殺害事件」というのは小学校6年生の夏に島根県の離島から川崎市に引っ越してきた模範的少年が、わずか一年の間に年上の不良グループと交わるようになり、さらに6か月後、多摩川の河川敷で遺体となって発見された事件です。一か月以上も…

「加害者はいかにして加害者となっていくのか」①〜マイレジューム

30年ほど以前に私のクラスで起こった、学級全体を巻き込むようないじめ事件はもう起きないことになっています。当時、学級は担任が責任をもって統率すべき場で、ほかの教員は入るのを遠慮したのです。しかし今はそうではありません。何か重大な問題があれ…

「いじめの国のドラえもん」2〜マイレジューム

古典的ないじめっ子のジャイアン、何事にもそつのない出木杉君としずかちゃん、似ているようには見えないが実は相似形のスネ夫とのび太、アニメ「ドラえもん」の世界は実によくできています。 スネ夫ものび太も余計なことを考えたり余計なことをしたりとけっ…

「いじめの国のドラえもん」1〜マイレジューム

いじめの加害者は右手に正義の剣を掲げています。その意味するところは「他人に迷惑を変える者は許さない」「人に嫌な思いをさせる者は許さない」「仲間を裏切る者は許さない」です。もちろんその「他人」「人」「仲間」はしばしば彼自身です。 しかし同時に…

「それは本質的な問題ではないのかもしれない」〜閑話休題③

ビルの杭打ちというのは様々な方法があるようですが、標準的な工法は「杭より10cmほど大きい穴をドリルで開け、その中に杭を差し込んでコンクリートを流し込み、固める」というものです。その際、地中の柔らかい層を掘っている最中と支持層と呼ばれる堅牢…

「私があほなのかもしれませんが」〜閑話休題②

フォルクス・ワーゲンの排ガス不正に興味があります。律儀で厳格で時には杓子定規だと言われるドイツ人が、なぜこんなことに陥ったのか、調べてみたい気持ちがあるのです。しかし日本国内ではネットを使っても十分な情報は集まらないと思うのであきらめてい…

「きちんとしないことの効能」〜閑話休題①

ちょっと気になることがあって、連載めいて書いているいじめ問題から2日ほど離れます。 まずは無関係な話から。 高校時代、通学路の途中に小さな書店があって面白そうな本ばかりが置いてあるのでしょっちゅう出入りしていました。しかし当時から、なぜそのち…

「事件の始まり」〜マイ・レジューム

「“いじめ”事件において、いじめられる側にも問題があるということは絶対にない。悪いのは100%いじめる側だ」という言い方があります。 確かに、いじめ事件の指導の真っ最中に、被害者に向かって「キミにも問題があるね」と言うことはできません。いじめ…

「更新しました」

ごみ拾いに密着!“ハロウィーン狂想曲”渋谷で見た「意外な光景」 「キース・アウト」(2015.11.01)

「いじめもどきの話」〜マイ・レジューム

文科省がいじめの実態調査をやり直したところ3万件も増えてしまったというニュースがありました(10月28日)。 以前だと「学校の隠ぺい体質」だの「隠されたいじめ」だのといった大げさなタイトルの記事となるところが、案外落ち着いているので驚いてい…

「いじめの軛(くびき)」2〜マイ・レジューム

いじめ問題に関するさまざまな考察を見てきて、いつも不思議の思うことが三つあります。 ひとつは昨日も書いた「なぜ時間的経過の中でとらえないか」ということ。 いじめの様態は時期によって変化します。 第二は、「なぜいじめの様態を分類しないのか」とい…

「いじめの軛(くびき)」1〜マイ・レジューム

今はどこでどのような暮らしをしているのかわかりませんが、私はいつも彼女に深く首をたれ、深い感謝と謝罪の表す心づもりで生きてきました。死ぬまで私が背負っていかなければならない負債です。 よくぞ死なないでくれた、よくぞ耐えてくれたと、感謝ともに…

「何が悪かったのか」2〜マイ・レジューム

初めて中学校の教員となり、いきなり担任を持って何もわからないまま様々なことを決めていく、様々なことが決まっていく。その間の私は分からないことだらけでした。 分からないのであれば他の先生に聞けばいいのに、しかし私はそれを聞かない。自尊心の問題…

「何が悪かったのか」1〜マイ・レジューム

ゴールデン・ウィークが明けるとクラスは荒廃の一途をたどりはじめます。 担任として出した指示が通らない、必要な生徒の活動が滞る、教室の具体的風景が明らかにすさんでくる――何が悪かったのか。 一言でいえば全部悪かったのですが、そう言ってしまったの…

「更新しました」

東大、アジア首位から3位転落なぜ?世界大学ランク「キース・アウト」(2015.10.23)

「教員生活の始まり」〜マイ・レジューム

汚い仕事をしているうちに組織が腐り、人間が腐っていく、その様子を目の当たりにしなければならない状況から、一変して善人が善意だけで動かしているような学校という場に移ると、世の中は全く違ったものに見えてきます。 私はほんとうに幸せでしたし、教職…

「先生たちはバカなのです」5 〜マイ・レジューム

「先生たちはバカなのです」とあまり繰り返して言うと本当にバカだと思われてしまいかねないので、学校が理解されない例をもうひとつ挙げて終わりにしたいと思います。それは「三角食べ」です。「三角食べ」というのはWikipediaによると、「和食を食べるとき…

「先生たちはバカなのです」4 〜マイ・レジューム

マスメディアの学校理解が進んでいなくて、とんでもなく見込み違いをしてしまったのが、1992年のいわゆる「埼玉業者テスト問題」です。 これは当時、埼玉県のほぼすべての中学校で民間の業者による統一テストが行われていて、その成績をもとに私立高校の…

「先生たちはバカなのです」3 〜マイ・レジューム⑨

学校も教員も非常に誤解されやすい存在ですが、それは世間の人たちが、「教員はほんとうにまじめで誠実で、素直でウソがなく、常に児童生徒のことを第一に考えている馬鹿みたいな人たちだ」ということを知らない、または前提として考えないからです。ですか…

「先生たちはバカなのです」2 〜マイ・レジューム⑧

以前、民間に努める飲み仲間と給食費未納の問題について話していて、こんなことを言われました。「給食費なんてまともに払うやつはバカさ。 払わないのは仁義に悖るが、あんなもの一年間まとめて年度末に払えばいいんだ。その間、銀行に預けておけば、わずか…

「先生たちはバカなのです」1〜マイ・レジューム⑦

『教員となった1983年の4月1日を、私は生涯忘れまいと決心し、現在も強く心に残っています』 これは何度か文章に書いて、このブログにも書き残したものです。 新採用として赴任した学校で気絶するほど忙しい一日を過ごした後、歓迎会の席で酒を注がれ…

「私が詐欺師だったころ」3〜マイ・レジューム⑥

社名が三つ教室名が三種ですから切り盛りするのはかなり厄介です。本社は早速移転して間口の狭いのっぽビルの三階分を借り切ります。各階に別の看板を掲げ、その間を社長が行ったり来たりするわけです。 電話を取る際も、今、自分が何階の何という社名の場所…

「私が詐欺師だったころ」2〜マイ・レジューム⑤

そもそも学習塾が成り立つかどうかといったリサーチもせずに、ただやりたいという人がいるというだけの理由で教室を開くのですからあまりにも無謀です。 本当はもっとまじめな経営もできたのかもしれません。会社の収入は最初の百万円とフランチャイズ料を除…

「私が詐欺師だったころ」1〜マイ・レジューム④

数年後には中級マンションと外車の生活だという甘い夢は2年目の途中から怪しくなります。傘下の教室数が25を超えたあたりからさっぱり増えなくなるのです。新規開拓に失敗したのではありません。つくる端から古い塾が潰れていくのです。ひとつつくればひ…

更新しました。

中学校給食一時停止へ 神戸市教委、異物混入問題受け会見 「キース・アウト」(2015.10.10)

「夢追い人」〜マイ・レジューム③

1975年は日本にとってひとつのエポック・メイキングです。 電気冷蔵庫・洗濯機・掃除機といった基本的な家電の普及率がほぼ現在の水準に高まり、高校進学率も上限にたどり着きます。また大学進学率もこの年にいったんピークとなって翌年から少しずつ下が…

「根拠なき恍惚と不安、我にあり」〜マイ・レジューム②

「透明人間になったら初めに何をするか」という設問があってたいていの男はよからぬことを考えるものですが、似たようなものでありながら「タイムマシンがあったら最初になにをするのか」という問いに会ったことがありません。もしかしたら可能性が広すぎて…